【R18】私の心は私のもの【リヴァイ/進撃の巨人】
第9章 4ヶ月後より前の話
「お嬢さん、息子が迷惑かけたね。
しかしお嬢さんがこんな時間に出歩くのも感心しないな。いくら兵士さんとは言えね」
「…」
「えっ?兵士なの?」
「フレーゲル…お前は商人たる者、人を見る目を磨けと毎日言ってるだろう。
この体つきはどう見てもただのお嬢さんじゃねえ」
「へえー…そうか…」
ディモの話に素直に頷くフレーゲル。
多分フレーゲルは、賢くはないが素直な男なのだろう。
父親の言うことに関心する姿には、まだ幼さが残っていた。
「迷惑料代わりにそこの店で一杯奢ろう」
「えっ」
「えっ」
ディモの提案に、私もそしてフレーゲルまでも面食らった。
迷惑料なら是非現金で頂きたいものだが…
「いえ、結構です。もう帰りますので」
なるべく愛想よく答える。
しかしディモは頑なだった。
「そう言わずに。最近兵団との付き合いも多くてね。君みたいな若い兵士の話も聞いてみたいのだよ」
「もう兵舎に戻る時間でして…」
「そうかい?正当な理由があって外出しているように見えないが…」
「ぐっ…」
ディモは兵団の内情をよく理解している様子だ。
この話ぶりだと、私が無断外出しているのも最初からお見通しのようだった。
そもそも兵士とバレた時点でアウトだ。
兵士が私服で、単独でぶらついているのは規則違反以外の何ものでもない。
「私がとりなしてやろう」
「はあ…」
「そこの店は馴染みの店でね。一杯付き合ってくれるだけでいいんだよ」
「はい…」
観念した。
勢いで飛び出して来たが、やはり規律違反で罰せられるのだけは避けたい。
無事に部屋に帰れるのであれば、どう考えてもそれが一番ありがたいことだった。
自分の間抜けさに盛大に呆れつつ、トボトボとディモのあとをついていく。
フレーゲルはというと、隣で終始キョトンとした表情をしていた。