第1章 シンデレラ
ホールの一番奥で皆が歓談する様子を眺めていた王子ドラケンが、マイキーの奇抜な姿を見て呟きます。そして口元を緩めフッと笑みをこぼしました。
「面白そうな奴だな」
洒落た音楽が奏でられダンスが始まろうかというところで、突然荒々しい物音が入り交じりました。東京卍国の敵対勢力である愛美愛主国の一派が、パーティー会場へ乗り込んできたのです。
「お前ら、やっちまえぇ!」
「王子ドラケンを狙え!」
突如会場内に悲鳴や絶叫が響き渡り、逃げ惑う人の波と散乱する食器やグラスで辺りは騒然とし、パニック状態と化してしまいました。
「何だコイツら…殴り込みか?」
マイキーも騒ぎに気付き様子をうかがっていると、ドラケンが人波をかき分けスッと前に出て行くのが見えました。
「…何だてめえら、不躾に何の用だよ」
「テメーが王子ドラケンかあ?オレは愛美愛主の総長長内だ」
愛美愛主の代表者とおぼしき人物が王子と対面します。
「風の噂で近々愛美愛主にケンカ売るって聞いてなあ、こっちから出向いてやったワケよ」
「フン…随分な挨拶だな」
「王子!危険です!ここは我々に任せ下がってください!」
城の兵士達がすぐさま集まり王子の護衛につきます。しかしドラケンは退く気配は全くなく、自ら前線で敵を蹴散らし始めました。
「パーティーの客はオレが守る!攻めあるのみ!」
その様子をうずうずしながら見ていたマイキーでしたが、王子の開戦の狼煙と同時に動き始めました。
「よし!俺も混ざろうっと」
マイキーとドラケンがそれぞれに大暴れし、愛美愛主と名乗る集団の隊員を次から次へと倒していきます。そしてついにマイキーは長内まで辿り着きました。
「あん?何だぁテメー、やんのかあ?」
直後マイキーのハイキックが奴のこめかみを直撃し、一撃で倒してしまいます。その光景に、辺りは一瞬しんと静まり返りました。
徐々に事態を飲み込めてきたのか、愛美愛主の兵隊達が後退りして逃げ始めます。
「…長内くんが…やられた!」
「うわああぁ!」