第1章 チタンパート 完
あれからヒロインさんは思い悩むことが多くなった。
普段とそう変わった様子はない。いつも通り仕事は完璧、バルトやニケルとも変わらずに接してくれる。
ただ、やっぱりどこかいつもと調子が違かった。
その様子にバルトも気付いているようで、時折心配そうにヒロインさんを見つめている。
「今日の晩ご飯は、栗ご飯とサンマの塩焼き、きゅうりと春雨の和え物とキノコ汁にしました」
ヒロインさんの元カレは、あの日以来見ていない。
もしかしたら俺のバイトが入ってない日に来てたのかもしれないが、偶然にも俺とヒロインさんのシフトはほとんど被っている。休みの日も殆どうちにいたから、会う機会もなかっただろう。
今度のライブが終わったら、何かちゃんとお礼をしよう。
そう思っていた。