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【SB69】レディ・レディ[オムニバス]

第1章 チタンパート 完


「出て行ってください」
思わず口を挟む。
そうして睨みつけると、男は肩をすくめた。
「悪いけど、これは商談なんだ。引くわけにはいかないし、店主でもない君には僕を追い出す資格もない」
「出て行け」
もう一段、低い声がでると男はやれやれと首を振った。
「また来るよ」
男が店から颯爽と出ていく。
もう来るなと思っていると、ヒロインさんは大きくため息を吐いて力なく笑った。
「……ごめんねチタンくん。みっともないとこ見せちゃって」
「いえ、俺もすいません。勝手に追い返してしまって」
その言葉にヒロインさんは何も言わなかった。
「……ちょっと早いけど、今日はもう店仕舞いするよ。チタン君ももうあがっていいから」
(ああ、この人はきっとまだあの男が)
チクチクと胸が痛む。
「のぼり、仕舞ってきますね」
「…………」
ヒロインさんがレジを開ける。
店の鍵を閉めて、裏口から外に出ると少し冷えた空気が肌を刺した。
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