第10章 ホットチョコレート【岩泉】
「お疲れ様でしたー」
まだ残ってる方々に挨拶をして
ロッカーに向かう。
最近は、毎日ではないけど
仕事終わりにスマホを見ると
はじめくんからメッセージが届いていることも多くて。
心なしか足取りも軽い。
大学卒業後、
はじめくんの後を追いかけて上京した。
仕事はまぁまぁ順調。
初めての一人暮らしにも慣れた頃
そろそろマンションの更新時期だと伝えると、
一緒に住むかと提案された。
はじめくんが彼氏になってくれて
だいたい4年?
最初はなかなか言い慣れなかった
"はじめくん" っていう呼び方も当たり前になったし、
なんなら "岩泉先輩" に恋していたことが
懐かしいな、なんて。
もちろん今も恋してる。
だけどそれは岩泉先輩より、
もっともっと大好きな "はじめくん"
ただ、一緒に住むといっても
はじめくんはほとんど家にいない。
基本的に月の半分は不在だし、
国際試合なんか入ると、もちろんそれ以上。
ちなみに今も絶賛不在期間中
今回はまぁまぁ長めだったけど
でもやっと来週、帰ってくる予定。
やっぱり、ちょっとだけ
寂しいな。とか
会いたいな。なんて思ってしまうけど、
でも、頑張っているはじめくんが大好きだし
一生懸命なはじめくんをみて、私も頑張ろうって思える。
今まではじめくんにはたくさん背中を押してもらって
本当に、感謝しかない。
そして、なかなか会えないけど
こまめに連絡はくれるし。
やっぱり私は
岩泉先輩に恋をしていた私でもあるから、
あんまり会えなくても、ものすごく幸せ。