第9章 学芸員の "月島さん" 【月島】
校外授業の報告書を提出して
明日の準備もして、
いつもより少し遅めに学校を出る。
ただ、帰った家の中は真っ暗で、
ひとつひとつ電気をつけながら
荷物を置いて、ご飯の準備を。
ガチャリ
「ただいま」
しばらくすると玄関が開く音と
いつも通り、大きくない「ただいま」の声が聞こえて
火と手を止めて、玄関へ
「蛍くんおかえりなさい!
今日はお世話になりました」
今日お世話になった "学芸員の月島さん" に
改めてご挨拶。
だけど帰ってきたのは練習終わりの
"仙台フロッグスの月島蛍選手"
「ただいま。
てか試合見に来るの?」
「え?」
試合?
だったら
「見に行くけど?」
今週末もその予定
「は?」
「え?」
なんだか珍しく、ものすごーーーーく
ご機嫌ななめな蛍くん
「どうしたの?
今週末行くって言ってたじゃん」
「…………あぁ、
いや、じゃなくて」
「うん?」
「…………はぁ」
大きなため息をつきながら
ソファに腰掛けた蛍くんに手招きをされて
そしてそのまま隣に座るように促される。