第8章 クリスマスイブと【菅原】
「菅原、今日は本当にありがと!」
「んーん。寒くない?」
年末、毎日寒さが増していく。
仕事だけの予定だった私は
残念ながら外で過ごすことを意識した格好ではなかった。
「ちょっと寒いけど、でももう少し見てたいな」
「じゃ、これも巻いとけ!」
そう言いながら
自分のマフラーを私にグルグルと巻いてくれて。
ふわり
菅原の香りに包まれる。
「目しか見えてねーべ!」
「いや、巻いたの菅原じゃん!」
二人で大きく笑うこの時間が
どうしようもなく幸せ。
なんてことない話をしながら
二人並んで座って夜景を見る。
「てか菅原明日も仕事だよね?」
「明日終業式!」
時計を確認すると、もうすぐ日付が変わりそうな時間
「わ!遅くまで付き合わせちゃってゴメン!
そろそろ帰ろっか?」
「いや、よければもう少しいね?」
「私は大丈夫だけど」
「よかった!」
???
菅原がいいなら、いっか?
というかわたしも
もう少し一緒にいたいな、なんて。
寒さの中ではあったけど、
菅原とおしゃべりをしていたら
次に時間を確認した時はもう日付が変わっていて。
「あ、12月25日だ」
「だね?」
時間じゃなくて、なぜか日付
「んーーーーー……」
なにかを考えるように黙り込む菅原
「あのさ、クリスマスイブって
なんかロマンチックだと思わね?」
「……だね?」
質問の意図はわからない。
そして、誕生日が同じ日の私は
実はあんまりそんなことを思ったことはない。
だけどとりあえず合わせてみる。