第8章 クリスマスイブと【菅原】
「え、本当に意味わかんないんだけど!」
「意味わかんない」なんて言いながら
ただ、鏡を見なくても満面の笑みだろう自分がわかる。
「あ、クリスマスイブより大切な日だった。
、誕生日おめでとう!」
ニッと笑う菅原
そうなんだよな。
今日は私の誕生日、でもある
んだけど。
「え?なんで菅原知ってんの?」
去年の誕生日はこんなことはなかった。
「だって先週飲んでた時、言ってたべ?」
…………覚えてない
だけど。
「えーーーーー。
もしかしてソレ、言いに来てくれたとか?」
どうしようもなく嬉しくて
そして、なんだか
うっかり涙が出そうになって。
冗談っぽく切り返す。
「だべ!ただ今日仕事終わるかわかんなくて
店とか予約してなくってさ。ゴメンな?」
「いや、覚えててくれて、
その上わざわざ言いに来てくれただけで充分だよ」
"それが最高のプレゼント"
とは言えなかった。
だけど、しょうがない。
菅原とはこれからもいい "飲み友達" でいるんだから。
「なぁ、この後時間ある?」
「時間しかない(笑)」
「じゃあ、なんか買って夜景見に行くべ!」
「え」
突然の提案
いや、私にとっては
まさかのサプライズに時間が止まる。
「他にやりたいことある?」
「…………ない」
というか
むしろそうやって誰かと、
というか菅原と。
過ごせたりできたらなって。
それも夜景って。
たぶん誕生日の私に気を遣ってのその提案と
菅原と過ごせるこれからの時間は
やっぱり "最高のプレゼント" じゃん。