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【ハイキュー】キミが好き【短編集】

第6章 苦く、焦がれる【宮侑】


いつもより少し濃い目のリップを塗って、

いつもより丁寧にメイクする。



鏡の中の自分を、いろんな角度から

何度も何度も確認して。


頑張りすぎないように、

でも、少しでも可愛く見てもらえるように。





久しぶりに会うんやもん。




普段は綺麗なアナウンサーやタレントさんたちに囲まれていて

そんな人たちに勝とうなんて、

これっぽっちも思ってへんけど。




だけどどうしても、

"幼馴染み" っていう私だけのポジションは


手放せへん。





待ち合わせの場所に向かう。





物心ついた頃から、気づけばずっと三人一緒にいて


一緒にいることが当たり前やったんやけど。





いつからやったっけ。



侑に会う時、

ちょっとだけ緊張するようになったんは。





ほとんど会えへん、離れ離れの期間があった。


侑が関東の大学に行ってから、

またこっちに戻ってくるまでの期間。




治はこっちにおったけど、

治も専門学校やら仕事やらで忙しそうで


結局治とも会わんくなって。




そして侑がこっちに戻ってきたってゆーても

侑は大阪やし。



別に会えへん距離じゃないけど、

なんやいつも忙しそうやし。


それこそプロになってからはもう会えへんと思ってた。





住む世界が違うから





そしたら、欲が出た。




離れたくない。





でも、そんなこと思ったところで

どうすることもできへんし。


こんなわがままで独りよがりな欲なんて、

なかったことにして


さっさとどっかへ捨てようとしてたんやけど。




だけど捨てきれへんって思ってたら

大阪支社へ異動になって。




でももうこれをきっかけに捨てなあかんって思ってたら


捨てる前に侑が連絡をくれて。





そこからまた、ちょくちょく会うようになった。


もちろん、ただの幼馴染みとして。







今日は買い物に付き合えって言った。


私の荷物持ち。





まぁ、そんなん口実なんやけど。


なんでもいいから、会って独り占めしたい。





世界には私の幼馴染は二人おるんやけど、

いつの間にか特別になってしもうた


そのうちの一人を
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