第3章 リップ(だいたい一年後 / 国見)
「別に卒業してすぐじゃなくてもさ。ダメ?」
これからも、一緒にいれる約束を。
「………ううん。よろしくお願いします」
小さく、
だけどハッキリと
その返事に安堵する。
「だけど、絶対絶対就職する!!」
そして今までのしょんぼりはどこにいったのか
さっきまで絶望の淵に立っていて
項垂れていたが、
突然背筋を伸ばして、何かを決心したような?
今度は大きな声での宣誓に、ちょっとびっくり。
「え?」
「これからも英くんと一緒にいるために、
英くんに相応しい女性になる!だからまずはちゃんと就職する!」
「え、あ、うん。え?」
なんだかよくわからないけど、
元気でたっぽい。
「………どうする?就活中会うの減らす?」
「なんで?!絶対絶対ヤだ!」
そう首を振るに愛おしさで口元が緩む。
「こっち」
おいで?って言うと、
胡座をかく俺の上に膝を立てるように座って
の腕が俺の首に巻きついて。
俺の腕はの腰に回して。
上を見上げると
「英くん、ありがとう」
「どういたしまして」
「英くん、大好き」
「うん。俺も」
が呼ぶ、自分の名前が好き。
小さい頃から変わらない、その呼び方。
の腰をグッと引き寄せて
唇が触れる。
「俺が手伝えることは手伝うし」
「うん。ありがと!」
「はやっぱり笑ってた方が可愛いよ」
「えへへ」
ほっぺたをむにって引っ張ると、
少し痛いって言いながら、だけど笑顔のがやっぱり愛おしい。
自分で選択したことだとはいえ、
まだ言うつもりがない言葉を言ってしまった。
だけど、いつかは伝える言葉だし
それに、その約束をちゃんと責任を持っていつか
果たせるように。
まずは社会人、頑張ろうと思う。
--- end ---
2021.2.8
国見くんのリクエスト、ありがとうございました!