いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第10章 4年ぶりの場所
–No side–
ヨコハマにある、西口五番街
一人の少女が壁にもたれかかり
ただじっと床を見つめて立っていた
「お嬢ちゃん、ねぇ誰か待ってんの?」
「こいつ昨日からずっと同じ姿勢だぜ。死んでんじゃね?」
「あっ今瞬きしたよ」
その少女に声をかける二人の大人
何を言われても答えず
じっとしていた少女は
やっと顔をあげたかと思えば
何かを見つけたかのように歩きだす
「うおっ動いた!!」
向かう先に歩いていた人の服の袖を
少女は手を伸ばしパシッと掴むと
「…え?私?」
袖を掴まれた人__太宰は振り返った
「見つけた」
「…これはまずい」
少女が口を開くと
二人はその場から姿を消した
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「太宰が行方不明ぃ?」
静かな探偵社内に国木田の声が響いた
「電話も繋がりませんし下宿にも帰ってないようで…」
敦が焦ってそう伝えると
「また川だろ」
「また土中では?」
「また拘置所でしょ」
探偵社一行はいつものことだろうと言って
全く焦った様子を見せない
『んー、でもちょっとおかしいかも…いつも寝る前と目覚めた時は必ず連絡が来るんだけど昨日の夜から一回も連絡来てないんだよね』
沙羅の言葉を聞いて
いつものことだろうと言っていた一同は
一瞬嫌な予感も考えた
あの太宰が沙羅への連絡を
忘れるはずがない
「真逆マフィアに暗殺されたとか…」
「阿呆か。あの男の危機察知能力と生命力は悪夢の域だ。あれだけ自殺未遂を重ねてまだ一度も死んでない奴だぞ。己自身が殺せん奴をマフィア如きが殺せるものか」
だが、国木田の言葉に
「確かに…」と皆納得する
「でも…」
敦はまだ心配なようだったけど
その時、ドアが開く音がした。