いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第8章 ヨコハマギヤングスタアパラダヰス
_______探偵社
依頼人の椅子に座るボブヘアの女性
その正面に、太宰、沙羅
国木田、敦、谷崎兄妹
「あの…えーと、調査のご依頼だとか…」
依頼人はソファに座ったまま
何も話そうとしないので
谷崎がバインダーを持ち話し始めたところ
「美しい。睡蓮の花の如き果敢なくそして可憐なお嬢さんだ。どうか私と心中していただけないだろ_________」
太宰が突然依頼人に
心中を申し込み始めたので
国木田が太宰をスパッと叩き
ズルズルと奥の部屋へ退場させた
「なななな」
「あ、済みません忘れてください」
そして困惑する女性に
谷崎が冷静に声をかける
「それで…依頼というのはですね、我が社のビルヂングの裏手に…最近善からぬ輩が屯している様なんです」
普通に再開した彼女をみて
変人慣れしてるのかな…
とその場にいた者たちはそう思った
依頼人の云う善からぬ輩、というのは
襤褸をまとって日陰を歩き
聞き慣れない異国語を話す者もいるらしい
「そいつは密輸業者だろう」
その話を聞いた国木田が答えた
密輸業者、
軍警がいくら取り締まっても
船蟲のように湧いてくる
港湾都市の宿業だ
無法の輩だという証拠さえあれば
軍警に掛け合える、
だから現場を張って証拠を掴め、
というのが今回の依頼らしい
「小僧、お前が行け」
「へっ!?」
そして、
敦、谷崎、ナオミの3人は
この仕事を任される事になった
「おい小僧、不運か不幸なお前の短い人生に些かの同情がないでもない。故に、この街で生き残るコツを一つだけ教えてやる。こいつには遭うな。遭ったら逃げろ」
敦の前に差し出された一枚の写真
黒ずくめの服を着た、
1人の男が写っていた
__________名は、芥川。