いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第3章 私がもっと、強かったら。
「………は…?」
『…なーんて、冗談冗談!』
沙羅は笑ってそう言っているけど
何故だか俺には、
冗談を言っている様には見えなかった
“もしも私が消えてしまった時は”
まるで、沙羅が、
何処かに行く事が判っている様に見えた
『さてと、早く残りの仕事も片付けないと!…ほんと、ありがとね、中也』
何事も無かったかのように
沙羅は側にあるソファーに座った
そして、太宰の分の仕事を片付け始める
……沙羅、
太宰の居場所、判ってるんじゃねぇのか?
そう言おうとしたけど、口には出さなかった
もしそうだとしたら、言ったところで
沙羅の意思は変わらないだろうから
沙羅の異能なら、
今日までの2週間もあれば
彼奴の、太宰の居場所なんて
簡単に見つけられる筈だ
「……俺は、手前が決めた事にケチ付ける気はねぇよ。」
書類に向かう沙羅の背中を見つめながら
独り言のように呟いて
返事をまたず、部屋から去った