いつかまた、キミと一緒に【文豪ストレイドッグス/長編】
第1章 黒の時代
−No side−
__________四年前
夜の闇が
今よりもずっと
青かった頃____________。
時計が深夜を回ろうとしていた頃
ある酒場のカウンターで
話をする者達がいた。
「…ところで、今日御三方がこの店にいたのは…何かの会合ですか?」
眼鏡をかけた坂口安吾という男が、
そう問いかける
「ここに来たら沙羅と太宰が居ただけだ」
「今夜ここに来たら、君達に会えるような気がしてねぇ」
『私はまぁ、治が行くって云うからなんとなく』
その問いに答えるのは、
皆同じ組織に所属する者達。
ただ、同じ組織と言っても
幹部、準幹部、構成員、最下級構成員と
普通なら関わりがなくてもおかしくはない
それでもこうして、
時々この場で酒を飲み
言葉を交わす。
「僕達に用事があったのですか?」
「別にないよ、ただ、そうしたらいつもの夜になるかなと思っただけさ。ただそれだけ」
そう、別に用事なんてない
それでも
なんとなく、この場に集まっていた
「何に乾杯するんです?」
「何でもいいさ。理由が欲しい訳じゃない」
「ストレイドッグに」
“ストレイドッグに”
深夜の酒場に、
カランと4つのグラスの音が響いた