第10章 パキスタン
「ほんと??」
花「あぁ、どれがいいんだい?」
「じゃあこれがいい」
そう言ってが選んだのは先ほど花京院が指差したヘアクリップだった。
花「もっと他のものでもいいんだぞ?」
「ううん、それがいいの」
花「そうか…分かった」
花京院は思った。もっと高価で豪勢なものでもいいのに、自分が指差したものでなくてもいいのに、なんて可愛らしいのだ、と。
「ありがとう!花京院!大切にするね」
花「壊れたらまた買ってあげるさ」
「花京院が初めてくれたプレゼントだもの、大切にするよ。同じものや新しいものでは意味ないもの」
花(一体どこまでいい子なんだ…どこまで君を好きにさせれば気が済むんだ…)
花「…そうか。ところで」
「ん?」
花「帰ったら承太郎と話し合ったほうがいいんじゃあないか?」
「え…」
花「確かにが怖いのもわかるし、承太郎が手をあげようとしたことは許せない。だけど承太郎だって、のことを嫌って、痛めつけようと思ってそんな風にしたんじゃあない。それはだって分かるだろ?」
「うん…」
花「承太郎も何か思うところがあったんだ。話を聞いて、仲直りした方がいい」
「分かってるんだけど…怖いの…花京院も一緒に来て…?」
花京院はが上目遣いで聞いてくるので思わず頷きそうになってしまったがなんとか堪えた。
花「これは承太郎と、2人の問題だ。僕はそこにいちゃいけない。ちゃんと2人で話してくるんだ、いいね?」
「…分かった…」
2人は陽が落ちる前にはホテルに帰り、花京院はを部屋まで送って、自分も部屋へと帰っていった。