第9章 インド
ジョ「承太郎」
承「なんだジジイ」
ジョ「お前はもっと素直になった方がいい」
承「どういうことだ」
ジョ「のことを好きなんじゃろう」
承「…そんなんじゃあねぇ」
ジョ「ならなぜさっき花京院にあんな態度を取った?普段のお前ならしないはずじゃ」
承「別に深い意味はねぇ」
ジョ「承太郎、正直なところ、この旅はいつ命を落としてもおかしくない。お前も死ぬかもしれんし、も死ぬかもしれん。そうなった時、本当に後悔はないと言えるのか?」
承「そんな風にはさせねぇ」
ジョ「を死なせたくないと、守りたいと思うのは彼女を愛しているからではないのか?」
承「は昔からの馴染みだ。そう思うのは当たり前だろうよ」
ジョ「もし失ったらと考えてみろ、花京院とを。どちらも同じ喪失感か?違うはずじゃぞ。どちらも失った悲しみの大きさは同じだろうが、同じ感情ではないはずじゃ。それに、昔からの馴染みだからというだけなら、花京院がと仲良くしようと、花京院の方がのことを知ろうと、なんとも思わんはずじゃ。」
承「…」
ジョ「今日は部屋に行ったら自分の気持ちについてじっくり考えてみるといい、今後そういう時間が取れるかどうかはわからないからな」
承「…おう。」
2人はここで分かれ、それぞれ部屋に戻った。
承太郎は1人考えた。
と花京院が仲良くしていた時のことを、そして、を失ったときのことを。
が花京院と2人で仲良くしていると、自分がバカにされたりしているわけではないのに、自分が直接関わっているわけではないのに、いらいらし、黒い感情が渦巻く。馴染みだからと否定するが、確かにただの友達であるなら、ただの友情なら、ジョセフが言った通りなんとも思わないはずだ。
そしてもしを失ったなら?きっと承太郎の世界からは色がなくなり、毎日のようにのことを思い出すだろう。そして違う誰かにの面影を探し、どいつも違うと落胆するのだろう。
承「俺は…のことが好きなのか…」
こうして承太郎はやっと自分の想いに気がついたのだった。