第8章 シンガポール
「昨日寝る前に甲板で話してて、寒いだろうからって貸してくれたの。」
承「何を話したんだ?」
「いろいろだよ」
承「いろいろってなんだ?」
承太郎はだんだんと語気を強め、の方に近づいて行った。
「い、いろいろはいろいろだよ。内緒」
承「ほう、俺には話せないようなことを話してたのか?」
承太郎はいわゆる壁ドンをしながらに聞いた。
「な、なに…?どうしたの…?承太郎」
承「俺には話せないことなのかと聞いているんだ」
顔をずいっとに近づけた。
「ち、近いよ…承太郎…」
は恥ずかしくなり、赤くなった顔を承太郎からぷいと背けた。
承「何を話していた?花京院と2人きりで」
承太郎はの顔を掴み、こちらを向かせた。
「!?…お父さんとお母さんのことだよ…」
承「…そうか。…わりぃな。」
承(俺だけが知っていることではなくなってしまったが、そのことなら、まぁいい。花京院のやつも知りたがっていたしな。しかし俺は何をやっているんだ、花京院と2人で話していたからって問い詰めるなんて。やれやれだぜ)
承太郎はから離れた。
なぜ自分がこんな行動に出てしまったのか分からなかった。
「う、うん…大丈夫だけど、承太郎は大丈夫?」
承「うん?」
「いや、今までそんな風になってるの見たことなかったから…どうしたのかなって…」
承「いや、なんでもねぇ。忘れてくれ」
「うん…わかった」
花京院が風呂から上がってくるとなんだか重苦しい雰囲気になっていることに気づいたが、に聞いてもなんでもないと聞かれたくない雰囲気で言ったのでそれ以上は聞くのをやめた。
それから3人はトランプをして、眠りについた。
翌日、朝早くに一行はインドへと向けて船へと乗り込んだのだった。