第8章 シンガポール
「違うのっ…みんな大丈夫って言ってくれるんだけど…ぐすっ…どうしてもそうは思えなくって…慰めてくれてるのに、そう思っちゃうの申し訳ないなって思ってて…ぐすっ…でもっ、花京院は私の気持ち分かってくれたからっ…1人じゃなくなった気がして、嬉しくてっ…ぐすっ…ごめん…」
花「謝ることはないさ。つらかったな」
ぎゅっ
花京院はの頭を自分の胸に引き寄せ、抱きしめた。
「花京院…?」
花「不安になったらいつでも誰にでも相談すればいい。言うことは皆違うかもしれないが、を想う気持ちは皆同じだ。だからは1人なんかじゃあない。それだけは分かっておくんだ、いいね?」
「うん…ありがとう」
も花京院を抱きしめ返した。
花京院は、ハッとした。
花「!?」
花(何をしているんだ僕は、をいきなり抱きしめてしまうなんて!)
花「す、すまない…い、いきなり、その…急に抱き締めたりしてしまって…」
花京院はそう言うとを引き離した。
花京院がオロオロとするものだからも自分達の行動に気づき、顔を赤くしながら謝った。
「わ、私こそごめんなさいっ…」
花「い、いや、いいんだ…そ、その…嫌じゃあなかったかい…?」
「あ、うんっ!あの、そんな、全然、その、嫌じゃあないよ…」
花「それなら良かったよ…前のイエローテンパラスのことがあったから、もしかしたら嫌われてしまったんじゃあないかと思った…」
「あれは花京院がしたことじゃあないから…嫌いになんて、ならないよ」
花「良かった…」
花京院は心底安堵した。
しかし2人の間には気まずい空気が流れた。
花「…そ、そろそろ寝ようか」
「う、うん、そうだね…あ、これ返すよ、ありがとう」
はカーディガンを返そうとした。
花「寒いから、部屋まで着ていくといいさ、それじゃあおやすみ、」
「ありがとう、おやすみ花京院」
2人は寝床へと戻っていった。