第2章 幼馴染
承太郎はこの時すでにのことを1人の女性として大切に思っていた。普段冷静で判断力に優れている承太郎だがその想いには自分でまだ気づいていなかった。他の女とは違うと思っているものの、どこか昔からの馴染みだから情が湧いているのだくらいにしか思っていなかった。
一方はこの時承太郎に恋心などは一切抱いていなかった。大切には思っていた、友情よりも深いものがあった。しかしそれは家族に対する愛と同じ愛であった。
承「!?遊も残るのか。まだガキなのに一緒に連れてって貰わなくていいのか」
「私もそう思ったんだけど、3ヶ月でお父さんたち戻ってくるらしくて、それ聞いて遊が幼稚園に通いたいから行かないって。」
承「そうか。彗も残るんだろ?」
「お兄ちゃんも行くって。今回の行き先がエジプトだからどうしても着いて行きたいんだってさ。」
承「彗もいくのか。1人で遊の面倒も家のこともできんのか?」
「ずっとは無理かもしれないけど3ヶ月だし、大丈夫。」
承「そうか。1人でこなそうとして無理するんじゃあねぇぞ。」
「心配してくれてるの?」(ニコニコ)
承「さっさと歩かねぇと置いてくぞ。」
照れ隠しなのかスタスタと長い足で大股で歩いて行ってしまった。
「ひどい!待ってよ!!」
は承太郎を走って追いかけた。
承「当たり前のことを聞いたが悪いんだぜ。」
承太郎がボソッとつぶやいた声はつぶやいた本人以外には聞こえていなかった。