第34章 花①出会い
は翌日館の中を散策していた。
(ディオ様が住んでいるのだから当たり前っちゃ当たり前なんだけど…それにしてもどこも暗い…ディオ様は陽の光を浴びたいと思うこととかはないのかな?)
歩いていると少しだけ光が差し込む出口のような扉を見つけた。
「あ…開いてる…?」
は自然と足をそちらの方向へと運んだ。
しかし、扉から出る寸前に立ち止まり、考えた。
(外の世界に久しく出てない気がする…でも気がするだけなのかな…ディオ様は外に出るなとおっしゃってたけど、それは館の外に出るのもだめなのかな…?敷地を出なければ大丈夫かな…?久しぶりに外の空気を吸いたいなぁ…)
そして外に一歩踏み出そうとした次の瞬間。
ぺ「キュピーン!」
赤いスカーフを巻いたハヤブサが鳴きながらバサバサと翼をはためかせこちらへやってきた。
まるで出てはならないと言うかのように。
どすんっ
それに驚いたは後ろに尻餅をついてしまった。
「うわぁ!!び、びっくりした…鳥…?」
ハヤブサは否定も肯定もしなかった。
「もしかしてディオ様に見張るように言われているの?」
のその言葉にも無反応であった。
「ディオ様に信頼されてないんだなぁ…外に逃げ出したりなんてしないのに…」
悲しそうに笑うの姿を見るとハヤブサの態度が変わった。
飛ぶことをやめ、の前に降り立ち、睨みつけるのをやめた。
「外に行こうとはしたけど、ディオ様のそばを離れようとしたわけじゃないんだよ。外の空気を吸いたかったの、陽の光を浴びたかったの」
ハヤブサが本当か?というような顔をした。
「本当だよ、でもディオ様は心配性みたいだからもう自分の部屋に戻ろうかな。見張りお疲れ様」
指先でハヤブサの頭を撫でると立ち上がった。
そして来た道を戻ろうとしたのだが、は立ち止まっている。
その様子を後ろでハヤブサが見守っていた。
そしてがハヤブサの方を振り返ると
ぺ「?」
ハヤブサは首を傾げた。どうかしたのか?と言うように。