第33章 花①エジプト
花「、泣かないでくれ…」
花京院は指での涙を拭った。
「でも…ぐすっ…」
花「いいんだ、明日の午前中にならないと結果はわからないが、おそらく失明はしていない。それに万が一していたとしても、僕は生きている。そして、も無事ではないが、生きている。それだけで僕は十分なんだ」
「でも目が見えなくなったら…これからもう何も見れないんだよ…?ぐすっ…」
花「命があるだけマシさ。…」
花京院は慰めるような声ではなく、凛々しい声で名前を呼んだ。
「…ぐすっ…なに…?」
花「僕の覚悟を、なめないでほしいな」
「…ぐすっ…」
花「いいかい?、こっちを向いてくれ」
花京院はの顎に手を添えて上を向かせた。
花「僕は死ぬ覚悟でこの旅に出たんだ。目が見えなくなったくらい、どうってことない」
「ぐすっ…花京院…」
花京院の目は包帯によって隠されているが、の方を真っ直ぐに見ているのがわかった。
花「ただ、そうだなぁ…心残りがあるとすれば、の顔を見れなくなってしまうことかな。ま、大丈夫だとは思うがね」
「花京院…ふざけてないで…私は真面目に……!!!」
が真面目に話しているのだから、そう言おうとした瞬間
チュ…
花京院がキスをしてきた。
花「僕も真面目に話しているよ」
「…え…?」
花「、僕は君が好きなんだ。に何かあったらと思うと気が気じゃない。のことになると冷静ではいられない。そのくらいが好きなんだ。1人の女性として、守りたいと思う」
「花京院が…私を好き…?」
花「あぁ、そうだよ。僕は君が好きだ。だから、目が見えなくなるのは別に構わないが、の顔が見れなくなるのがものすごく辛いんだ」
「…わ、私は…私は…」
花「承太郎が好きか?」
「ち、違う!いや違くないけど…好きだけど…承太郎は…仲間というか家族みたいな好きだよ…だから、花京院の言う好きとは違うよ…」