第2章 幼馴染
そして1日もいつものように終わり、は1人で朝来た道を帰っていた。
別に朝も承太郎といつも一緒に行く約束をしているわけではない。毎朝2人とも同じ時間に鉢合わせるので一緒に行くようになっているだけだ。帰りも同様である。たまたま鉢合わせれば一緒に帰るがそうでなければお互い探すようなことはせず、1人で帰る。
ガチャッ
「ただいま〜」
母「おかえり。手洗ってらっしゃい。ご飯すぐできるからね。」
遊「お姉ちゃんおかえり!あのね、あのね、今日ね、」
「ただいま遊!手洗ったら話聞くから少し待ってて?」
遊「はい!」
母「、ご飯食べて、お風呂入ったらそのあとお父さんとお母さんから大事な話があるの。大丈夫?」
「あ…、うん…わかった。」
は幸せだった。エリート一家に生まれたのに自分には何の才もないことが確かにコンプレックスではあったが、それを責める者は家族にはいない。帰ってきたら仕事を終えた母が、温かいご飯とお風呂を用意して待ってくれていて、家族の仲も悪くない。引け目を感じ、罪悪感を感じることはあっても、決して不幸に感じたり寂しい思いをしたりすることは無かった。
だから、家族について行くことにはなんの反対もなかった。ただ生まれ育ったこの場所を離れると思うと、今まで当たり前のように仲良くしてきた友達、すなわち承太郎と離れると思うと寂しいのだ。
と遊がご飯と風呂を終え、居間に戻る頃には彗も父も帰ってきていた。
家族揃ってテーブルを囲んで座ってが風呂から戻ってくるのを待っていた。
父「。そこに座りなさい。」
「…はい。」
父「これからなんの話をするか、わかるかな?」
「…」
彗「昨日少し聞いてたろ。分かってるんだぞ。」
「…分かってます。」
父「なら話は早いな。お父さんとお母さんと彗の3人でエジプトへ行くことになった。と遊はここに置いていく。」
「…はい、異論ありま…って。え?えぇぇっ!?」
彗「昨日聴いてたんじゃあなかったのか?」