第29章 花①メサイア
彗「どうしたんだ?」
父「何をしている?早くおいで」
母「何かあったの?」
遊「お姉ちゃん、早く!」
(呼んでる、行かなきゃ…でも…なんで…?何か大事なことを忘れてる…)
そう思いながらも,現実世界のは一歩、また一歩と歩みを進めた。そして、後一歩で屋上から落ちてしまう。
(行かなきゃ…お父さんとお母さん達のところに行かなきゃ…)
はまた一歩踏み出してしまった。
花「!何しているんだ!!…はぁ…はぁ…」
現実世界で息を切らした花京院がの手を強く引き、と共に倒れ込んだ。
「ん……。花京院…?……!?な、なに!?」
花「こそ何をしている!?」
「分からない…私…一体何を?」
花「扉の開閉音で目が覚めて、ベッドを見たらがいなかったから部屋へ戻ったのかと思って、確認するため訪ねてみようとしたらエレベーターで上へ向かっていくのが見えた。だから追いかけたんだ。エレベーターがガラス張りだったんで気づけたが、もし違ったら確実に死んでいたぞ」
「ごめん…ごめん…」
はポロポロと泣き出した。
花「自分で外に向かってる意識はなかったのか?」
「ないよ…でも…夢で家族に呼ばれたの…」
花「なに?」
「夢だって途中で気づけたんだけど、お父さんたちの存在も夢だっては気づけなくって…夢の中ですごく楽しくて,幸せで、みんなが私を呼ぶから行かなきゃって思って、でも何かすごく大事なことを忘れている気がして…それで…」
花「わかった、…もういい…もう思い出さなくていい…」
花京院はの頭を胸に抱え込んだ。
「ごめん…ごめんなさい…花京院…」
花「が悪いんじゃあない。スタンドだ。おそらくスタンド使いが近くにいるんだ」
花京院は思った。が弱っているところを利用し、アインガードも手出しできない夢の中を操ってくるなど許せない、と。花京院はそう思った。
そしてこの光景を見ている者がいた。