第29章 花①メサイア
花「それじゃあ僕たちもそろそろ寝ましょう」
ポ「本当に床で寝るのか?」
花「えぇ、野宿よりはマシな寝心地でしょう」
ポ「そうかもしんねぇけどよぉ…」
花「気にしないでください、電気消しますよ」
承「俺は部屋に戻る」
花「あぁ、ありがとう承太郎、のためとは言え、今日は付き合ってくれて」
承「おうよ」
承太郎は自分の部屋へと戻っていった。ポルナレフはベッドに入り、花京院は言った通り、電気を消して床に寝転がった。カーディガンを布団がわりにして。
は夢を見ていた。
家族が皆揃っていて、楽しそうにドライブをしている。
遊「家族全員でお出かけなんて久しぶりだね!」
母「そうねぇ、なかなか全員の休みが合う日は少ないものねぇ」
「でもいつもお家で一緒に過ごしているじゃあないの」
彗「家で過ごすのと出かけるのとではまた違うだろ、な?遊」
遊「そうだよ!お家で過ごすのも楽しいけどお出かけもたまには楽しい!!」
「まあたしかにね」
父「お前たちが一日楽しんでくれたなら良かったよ、そろそろおうちだ」
母「今日もたくさん買っちゃったわねぇ」
彗「僕と父さんで荷物は持つから母さん達は先に行ってていいよ」
母「あらほんと?ありがとう。でも一緒に行くわよ、先には行かないわ」
父「着いたぞ」
(マンション??ここは家じゃあ…あっ…そうか…これは、夢だ…だからあり得ないことが起こるんだ)
はこれが夢での出来事であると気づいた。それは家が戸建てではなく、マンションになっていたからである。しかし、ここではまだ現実では遊以外の家族は失っているということに気づけていなかった。
そして、この時現実世界のの体は動き出していた。意識はないものの夢遊病のように動いていた。
父「エレベーターが来たぞ」
その言葉で家族は次々にエレベーターに乗り込んだ。も乗り込んだ。
そして最上階に着いた。
の現実世界の体も同じように部屋から出てエレベーターに乗り込んだ。着いたのは最上階。そしてそのまま屋上へと出てしまった。
外の空気がの頬に触れる。この時は不思議に思った。何か大事なことを忘れている、と。