第28章 承①2人の時間
「遊を置いて、私だけ一緒に承太郎と行く選択肢はないよ。絶対にそんなことはしない」
遊「それじゃあ、僕を連れてって結婚するか、結婚自体を諦めるかの2択ってこと?」
「諦めるわけじゃないよ、遊がもう少し大きくなるまで、承太郎に待ってもらう。遊の人生だから、私の気持ちは考えなくていい。遊は自分がどうしたいかを考えて」
遊「わかった…でも…今じゃなくてもいい…?答えを出すのは」
「いいよ、でも来月には行っちゃうみたいだから、待てて1週間かな…」
遊「わかった。それまでには決めるよ」
2人の話し合いはここで終わった。
遊は悩んだ。姉の人生を応援したい。でも、ここを去って異国の地へ行くのも不安。
遊「どうしよう…あ…そうだ…」
遊は徐に便箋を取り出し、ある人物に手紙を書いた。
花「さて、今日は何をするかな」
花京院は高校卒業後、出身地である仙台に戻り、プログラマーになっていた。
休日の今日は何をしようかと考えて、ポストを開いた。するとそこには新聞と共に一通の手紙が入っていた。
花「ん?手紙?」
花京院は家に入ると早速その手紙を開けた。
花「あ…」
そこに書いてあったものは
"典明兄ちゃんへ"
お久しぶりです。お元気ですか?僕とお姉ちゃんは元気です。
最近僕は少し悩んでることがあって、その相談をしたくて典明兄ちゃんに手紙を書きました。
まず、報告なのですが、承太郎兄ちゃんはお姉ちゃんにプロポーズしたようです。それを聞いて僕は本当に嬉しかった。とても喜ばしいことだと思います。
でも、それと同時に僕も一緒に連れて、アメリカに行こうと言われたみたいです。僕はお姉ちゃんに一緒に行くか、ここに残るか選択して欲しいと言われました。僕がここに残ると言った場合は、今回は承太郎兄ちゃんのプロポーズを断り、僕が大きくなるまで少し待ってもらうそうです。
正直僕はここを、日本を、生まれた町を、友達と、離れたくありません。でもお姉ちゃんの人生も応援したい。その二つの気持ちで僕は今悩んでます。
典明兄ちゃんならどうしますか?アドバイスをもらいたいです。後1週間で決めなければならないので、忙しいかとは思いますが、お返事待ってます。
"守屋遊より"