第28章 承①2人の時間
それから5年が経った。
承太郎は海洋学者になり、は普通のOLになっていた。
遊も10歳になり、その頃には2人は空条家を出て、アパートを借りて暮らしていた。
ある日、は承太郎から高級なレストランに誘われた。
「どうしたの?こんな高級なレストランに誘うなんて、プロポーズ?なんてね、アハハッ」
は知っていた。承太郎にはまだそんな予定はないと。承太郎は学者としてあちこち忙しく飛び回る身。今までも何度か離れ離れになってしまったことがあった。だから承太郎がなかなか決断できないことをは分かっていた。
承「そうだ」
だが予想に反して承太郎はそうだと答えた。
「いいよ、いつまでも私は待つ…え…?今…なんて…」
承「、俺と結婚してくれ」
承太郎の手の中には見るからに高そうな指輪があった。
「ほ…本当に…?」
承「あぁ。来月からアメリカに行くことになった。」
「また遠いね…」
承「だから、俺と結婚して、一緒についてきてくれ。これ以上を残していくのはもう我慢ならん」
「…本当に嬉しい…今すぐ、うん、結婚する、ついていくって答えたい…でも…」
承「遊だろ」
「うん…」
承「最初からすぐに返事が来るとは思っていない。家に帰って遊に話してみてくれ。俺はもちろん、遊も一緒に連れて行く前提で話している。1人残して行くことは考えてない」
「うん…ありがとう」
は家まで承太郎に送ってもらい、帰って行った。