第25章 承①ザ・ワールド
ポ「だが今、恐怖はこれっぽっちも感じない、俺にあるのは闘志だけだ。ジョースターさん達と会って、この45日余りの旅と、仲間の死が、俺の中からお前の恐れを吹き飛ばした!」
デ「本当にそうかな?ならば、階段を上るがいい」
ポルナレフは階段を1段上った。つもりだった。
デ「そうかそうか。ポルナレフ。ふふっ、階段を降りたな?このディオの仲間になりたいと言うわけだな?」
ポ「なっ…!えっ?んっ?な…なんだ!?俺は階段を一歩、たしかに…」
上っているはずなのに、全く進んでいなかった。
「はぁ…はぁ…」
デ「どうした?動揺しているぞ、ポルナレフ。動揺する。それは恐怖していると言うことでは無いのかね?それとも、登らなくてはならないと心では思ってはいるが、あまりにも恐ろしいので無意識のうちに逆に体は降りていたといったところかな?」
ポ「ばかな!俺は今確かに階段を上った!」
しかし何度上っても下にきてしまう。
ポ「ううっ」
デ「ポルナレフ、人間は何のために生きるのか、考えたことがあるかね?人間は誰でも不安や恐怖を克服して、安心を得るために生きる。名声を手に入れたり人を支配したり。金儲けをしたりするのも安心するためだ。結婚したり、友人を作ったりするのも安心するためだ。人のために役立つとか、愛と平和のためだとか、全て自分を安心させるためだ。安心を求めることこそ人間の目的だ。そこでだ。私に使えることに何の不安感があるのだ?他のすべての安心が簡単に手に入るぞ。今のお前のように、死を覚悟してまで私に挑戦することの方が、不安ではないかね?」
「はぁ…はぁ…」
ポ「はぁ…はぁ…」
デ「お前は優れたスタンド使いだ。殺すのは惜しい。ジョースターたちの仲間を止めて、私に永遠に仕えないか?永遠の安心感を与えてやろう。そして。早くこちらにおいで。君には何もさせないよ。もちろん不安にもさせない。ただそばにいてくれるだけで、そのエネルギーとやらを分け与えてくれるだけでいいんだ。さあこちらにおいで、」
ポ「く…くどいぜ、ディオ!俺はもともと死んだ身!てめぇのスタンドの正体を見極めてから死んでやるぜ!」
「はぁ…はぁ…私は…私は…行かない…!!私は承太郎のそばに居る!最期まで!」