第23章 承①ホルス神
ア「礼は十分にする」
アブドゥルは男に写真を渡した。
ア「その写真の館の場所を知りたい。でもかなり急いでいる」
男は写真をしばらく見つめると、物乞いの格好をやめ、スーツに早着替えした。
「な、なに…?今の…」
男「今日の仕事はやめだ。写真の館は3時間で探せるぜ。そこで待ってな」
そう言うと男は高級車に乗りどこかへ行ってしまった。
「びっくりだな…」
ポ「あぁ…あっ、おい、ところでイギーのやつはどこへ行った?」
「まだ戻ってきてないね…」
ジョ「また拾い食いしに行ったんだ」
「ねぇ、承太郎やっぱりイギーに何かあったんじゃ…」
承「黙ってやられてるような犬じゃあねぇぜ、あいつは」
「そうだけど…」
ポ「ま、戻ってくるまで待ってようぜ」
一行は柱のところに座って待つことにした。
しばらくするとポルナレフが口をひらいた。
ポ「プハー、あーあ」
タバコの火を消した。
ポ「しっかしアブドゥルよう、あのグラサン野郎は本当にディオの館を見つけられるのか?」
ア「彼に見つけられなければ、他に見つけられる人間はいないだろう。ここカイロの複雑な地理に誰よりも詳しい。信じて待つんだ」
ポ「そうは言うけどよぉ、俺たちがさんざん探し回っても見つからなかったんだぜ?とても3時間で見つけられるとは思えねぇなぁ」
ア「くどいぞ、ポルナレフ。まったく、少し落ち着いたらどうなんだ」
ジョ「やきもきしても仕方ないが、今は地元の人間の土地勘を頼るしかないだろう」
ポ「…ったく、イギーのやつもさっきから姿が見えねぇしよぉ…一体どこほっつき歩いてやがんだ、あのバカ犬は」
ジョ「イギーはもともと群れるのが大嫌いだからな、どこか近くにおって、そのうちちょこっと姿を現すじゃろう」
ポ「チェッ、普通犬ってのは、人間に愛想振りまくものなんだろうが、あのひねくれたクソ犬め」
「なんだかんだ言いつつ、ポルナレフもイギーが心配なんだね」
ポ「迷惑だって思ってるだけだぜ」
「出たよ、また強がり」
ポ「そんなんじゃあねぇ!」