第19章 承①アヌビス神とバステト女神
承太郎たちはジョセフ達と落ち合い、ルクソールという町にやってきた。
ア「あの有名なツタンカーメン王の墓もこの王家の谷にあるのだ」
ポ「へぇ、歴史のある場所なんだな」
ア「いまだにどこかの家の地下では金銀財宝を求めて、政府に内緒で洞窟を掘ってるやつがいるということだ」
ポ「まだ発見されていない墓や財宝があるかな」
ア「ひょっとしたらな」
「お兄ちゃんにはたまらなかったんだろうなぁ、ちゃんと見れたのかな…」
承「見れたと思うぜ。両親は子供のことを1番に考えてくれてたんだろ、なら1番初めに彗の行きたいところに連れて行ってやったはずだ」
「そうだね…じゃあ見れたのかな」
承「あぁ、ところでジジイはどこ行った?」
ア「トイレだ、イギーと一緒だから異常があれば気づくだろう」
ポ「トイレ?」
ア「お前も行くか」
ポ「うーん…まともな仕組みならな」
だがエジプトのトイレはもちろん水洗式ではない。水洗式ならぬ風洗式なのだ。
ジョセフが戻ってきたので、策を練るためにも、店に入ってコーラを頼んだ。
ア「あと2日あればカイロまで行けますが、全員なんらかの怪我をしています。今夜と明日はルクソールに滞在して、休息を取るのはどうですか?」
ジョ「うん…」
ポ「そうしようぜ、エジプトに入ってから敵スタンドが特に強くなってきている。ギリギリで勝っているという感じだぜ」
ジョ「うーん…」
ジョセフは先ほどから義手を動かしていて、あまり話に集中出来ていないようだった。
ポ「あれ、ジョースターさん、どうかしたのかい?」
ジョ「うん?義手の調子が少しおかしくてな。まぁ、指関節の肋が切れたせいだと思う」
ラジオの雑音が目立ってきた。
ポ「おい、ちょっと!そのラジオぶっ壊れてんじゃないの?」
店主「変だなぁ、日本製だし買ったばかりなのに」
ポ「ガーガーうるさいから、スイッチ切ってくれ」
ジョ「うん?」
ジョセフの義手には先ほど抜いたコーラの栓がくっついていた。
ポ「ジョースターさん?」
ジョ「うん?あぁ、確かに、カイロに入った時のためにしばらく休んだ方がいいな、ただし油断は禁物だ。ではホテルを探そう」
一行はホテルを探しに向かった。皆ジョセフに金属のものがくっついてくるのには気づかずに。