第19章 承①アヌビス神とバステト女神
船に乗るとイギーはポルナレフにずっと吠えていた。
はずっと1人考えたような表情をしていた。
承「なにかあったか」
「あ、承太郎。いや…なんか、ポルナレフ変じゃない?」
承「ん?そうか?」
「うーん…ネズミに剣を持ってかれて怒ってるように見えたし、イギーもずっとポルナレフに唸ってるし…私の勘違いか」
承「少しでも異変を感じるなら、警戒しておくに越したことはない」
「うん、でも私の考えすぎかもしれないから、そんな深刻にならないでね」
承「おう」
「…」
承「…」
「承太郎」
承「なんだ」
「もう少しだけ、待ってもらえるかな」
承「言ったろ、俺はいつまでも待つ」
「ありがとう、もう少し、きっとあともう少しで答えが出せるから」
のなかではもうほとんど答えは決まっていた。だが、何か少し、あと少し決定打が足りなかった。
そして一行は翌日の昼過ぎにエドフに着き、その日泊まるホテルで話をしていた。
承「ところでその剣どうするつもりだ?」
ポ「ああ、警察に届けるぜ。どう見ても凶器だからな」
はポルナレフのその言葉を聞いて内心ほっとした。
ジョ「うーん、それがよい。あの遺跡に捨てておいたら誰が拾うか分からん」
ア「高価そうにも見えますしね」
イ「ウゥーワンワン!ウゥ…」
イギーはまだポルナレフに唸り続けていた。
ア「こら、イギー静かにしろ」
ジョ「宿を追い出されたらどうする」
「どうしたの?イギー、昨日からずっと」
イ「ワンワンワン!」
ポ「分かったよ…なんなんだよさっきから!チェッ、クソ犬はうるせぇし、さっさとこいつを届けに行くか」
ア「ポルナレフ、だから1人になるんじゃあない」
ポ「あっ」
ジョ「さっき言ったばかりだろう、承太郎、お前も付き合ってやれ」
承「ああ」
「私も行く」
3人が部屋を出て行くまで、イギーはずっと唸るのをやめなかった。