第13章 承①メサイア
ベッドの上は思った以上に狭かった。セミダブルだからまだいいもののシングルであったらはみ出していただろう。
「思ったよりも狭い…」
承「だから言ったろ、やっぱり俺は床で…」
「いいの、いて」
がどけようとする承太郎を狭いベッドの中で引っ張ったので、2人の顔は鼻が触れそうなほど近くになった。
承「おい…。!?」
「だって…。!?」
承「わ、悪い…」
「ご、ごめん…」
2人は顔を真っ赤にして互いに背中をむけた。
(はぁ、びっくりした…自分から言っといて何だけど、こんなんじゃあドキドキして寝れないよ…それにしても、承太郎ってすごく綺麗な顔してるんだな…今まで当たり前のように近くにいたから分からなかったや…)
承(近かった…あんなに近いのは今まで無かったんじゃあねぇか?こんなんで俺は寝れるのか、むしろ床の方が寝れた気がしなくもないぜ…それより明日絶対にジジイに何か言われるな、黙らせる方法をなんとか考えなくちゃあならねぇ…)
2人がそんなことを考えながらしばらくするとの方からスゥ、スゥと寝息が聞こえてきた。
承(やれやれ…こっちは寝れなくて困ってるって言うのに、早速寝ているな…。!?)
そして承太郎がの方を向くと、もこちらを向いた。
そこにはの穏やかな寝顔、ではなく表情は穏やかだが、目から涙がこぼれていた。
承(…ここ数日間でたくさん傷ついたんだろう…守ってやれなくて、すまねぇな…)
承太郎はの涙を指で拭った。
「ん…承太郎…」
そう言うとは少し笑顔になり涙を拭った手に頬擦りをするとまた静かに寝息を立てた。
承(…なんだ…今のは…)
承太郎は胸を鷲掴みされたような気持ちになった。
承(今夜だけだから、許せよな)
承太郎は心の中でそう呟くと、に腕枕をし、額にキスを落とすと抱きしめながら眠りについた。