第3章 忘れさせてあげる⦅七海⦆
『健人は ちゃんと私の事 好き??』
英文で書かれた新聞を読んでいた七海に が声をかけた。
「えぇ、もちろん」
七海は読んでいた新聞から視線を に向けてそう言った。
『健人は あんまり "好き" って言ってくれないから不安になる…』
の言葉に七海は「そうですか」と言って続けた。
「できるだけ伝えるように努力します」
お互いオトナだ。
コトバで愛情表現を求めるのは七海の負担だと感じている部分もあった。
それでも、フとした時に不安になる時がある。
いつもクールな七海。
コーヒーのおかわりに立ち上がると、いつもと様子が違う の頭を通り際に優しく撫でた。
『?!///』
「不安にさせて すみません。
照れてる も好きですよ」
ふ、と少しだけ口角をあげ優しく そう言う七海に、 は更に顔を赤くした。
☆ ☆ ☆
七海と が付き合うようになったのは、七海が一般企業を退職し術師に出戻ってからだ。
『五条センパイ、誰と電話してたんですか??』
七海からの電話を切った五条に、 は声をかけた。
「ん~? ナイショ♪」
『イジワル』
御機嫌で電話を切った様子から任務では無いと感じていた だが、それ以上追及する事なく その日は五条と別れた。
次の日、七海が高専に居るのを見かけた時は驚いて時が止まったかと思った。
『健人!』
遠くから声をかけたため七海は気づかず、建物の中に入っていった。