君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第209章 209
が無事退院し、自宅へと戻った翌日。
「龍くん、具合どう?」
「うん、大丈夫だよ。ちょっと暑いけど」
「あらら、熱高いのかな?布団一枚減らすね」
の部屋のベッドには龍之介。
その額には濡らしたタオルが乗っている。
「が大変な時に、ごめん」
「いいの。多分、疲れとストレスだよ。あと、滅多に怒らないのに激怒したから。病院で拾っちゃったのかもだけど…体がびっくりしちゃったんだね」
くすくす笑いながら額のタオルを手に取り、タオルの代わりに自らの手のひらで触れる。
「さっきよりは下がったみたいだけど…何か食べれる?」
「うん…、こっち来て?」
熱で潤んだ瞳で呼ばれ、はうっかり頬を緩めながら龍之介の隣に寝転ぶ。
「どうしたの?」
「愛してる」
「ふふ、私も愛してる。いい子いい子」
何となく心細いから、にくっ付いていて欲しいのだろう。
勝手な思い込みかもしれないがそう思い、は龍之介を抱きしめながら頭を撫でる。
すり、と擦り寄ってくる龍之介が何とも可愛い。
「…」
「ん?」
「大好き」
可愛すぎか?
ぎゅう、と抱き着いて来る龍之介に、きゅう、と胸を締め付けられる。
愛しさしかない。
「お昼何が良い?お粥?うどん?雑炊?」
「」
「それは元気になってから」
「もう元気だもん」
「…熱が7度8分ある人は元気じゃないの。クタクタのくせにぃ」
だもんて何だ可愛すぎかもう!
そんなことを思いながらは龍之介の頬を両手で挟みくすくすと笑う。
いつも元気でいて欲しいが、たまにこんな弱さを見せてくる龍之介もまた良い。
「私がオフでよかったよ。こんな龍くん置いて仕事行けないもん」
「ん…俺もがいてくれて嬉しいよ。ほっぺは?」
念の為にと未だ湿布を張っているの頬を撫で、龍之介は軽く首を傾げる。
痣は痛みもなく落ち着いてきているが、治りかけ特有の黄味がかったものになっていて、人前にはなかなか見せ辛いものになっていた。
湿布を張っているのも、龍之介にこれ以上の心配を掛けたくないからでもある。
「もう痛くないよ。本気で殴ったんじゃないのかもね。もしくは喧嘩したことないへなちょこか」