君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第206章 206
「こちらに横になって頂いて…ベルトつけさせて頂いてよろしいですか?」
「……はい」
固定ベルトを装着され、は一瞬、拘束されていた時の恐怖を思い出す。
「」
「っ、龍くん…」
「大丈夫。これは安全のためだよ。俺も付いてるから」
「うん…ありがと」
そんなの一瞬の変化に気付いた龍之介が、そっとの手を取り握る。
途端、ほっと表情を緩めは小さく頷く。
病院は近かったようで、程なくして救急車は夜間救急へと到着した。
「さん。左頬に打撲傷、手足に鬱血です」
「さん、歩けますか?」
「大丈夫です」
「本当に大丈夫?抱っこしようか?」
「その言葉は超甘えたくなるけど、歩けるかお医者さん見たいと思うから、ここは歩くね?」
いつも通り過保護が発揮された龍之介にくすくす笑いながら、は軽く首を振る。
残念そうだな
残念そうだわ
と、龍之介のしょんぼりとした様子に医師と看護師の心が一つになった。
自らの足で処置室へと入ったは、椅子に腰かけ医師に殴られた頬を見せる。
「ちょっと触りますね。傷にはなっていなさそう…骨も触った感じ異常なさそうだけど、念の為レントゲン撮りましょう」
「はい。あ、龍くん、あとで刑事さんにカバン戻ってるか聞いてもらっていい?財布に保険証入ってるから」
「うん、確認しておく。取り敢えず会計は俺がするから、安心して」
「ありがとう」
龍之介に頷き、は後ろに立っている龍之介の身体に身を預ける。
多少の疲れが出てきたのだろうか。
「念のため、一晩入院した方が良いかと思いますが…」
「え、そんな…」
「、ちゃんと見ておこう。気付かないうちに頭打ってるかもしれないし。明日仕事は?」
「昼から撮影…だけど、こんな顔じゃどっちにしろ出れないかもしれないね」
「大神さんに聞いておこう。出来ればゆっくりしてほしいけど」
「そうはスケジュールが許さないんだなぁ」
苦笑しながらもは一晩入院することを決める。
その方が事情聴取なども周りを気にせずできるだろう。
その旨の連絡は龍之介に任せ、手足のケガも見てもらい、レントゲンを撮り、はようやく病室へと案内され一息ついたのであった。