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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第205章 205




スマホは個人情報の塊。
あっという間に持ち主が割れて、彼が犯人であろうことがバレてしまう。
それ位は考え付いたのだろう。
だがその隙を、は見逃さなかった。
思い切り鳳を突き飛ばし、はエレベータを追い越し非常階段を目指す。
部屋から出るとき、扉に表示されていた非常口のチェックはした。
見えているならば、その記憶力は遺憾なく発揮できる。

「っ、待て!」

こんな状況で待てと言われて待つバカはいない。
非常階段の扉を開け、一気に駆け降りる。
部屋のあるフロアは三階だったらしい。
そのおかげか、案外すぐに裏口へと出ることが出来た。

「っはぁ…あっちが明るい。音もする」

先程感じた通り、やはり繁華街は近くはなさそうだが遠くでもないようだ。
鳳か女が近づいて来る音も聞こえる。
は後ろを振り返ることなく走り出した。
兎に角、人の居る場所へ。
何が何でも帰るんだ。
愛しい人の元へ。

「待て!!」
「待ちなさい!なんで拘束解くのよ!バカじゃないの?!」
「うるさい!」

後ろから鳳と女が言い合いながら追いかけてくる声がする。
逃げろ。逃げろ。
逃げろ。
ここで捕まるわけにはいかないから。

「大丈夫。行ける」

だって私は強いから。
龍之介の心配そうな顔が脳内を過る。
これ以上心配かけちゃダメ。
早く、龍くんの所へ帰るんだ。

の、必死の逃走劇の始まりであった。

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