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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第204章 204




「様、いらっしゃいますか?」

身支度が整い、いざスタジオを出ようとした途端、スタジオの扉が開き、一人の男が現れた。
その恰好から、タクシーの運転手であろうことを察した一同は顔を見合わせてから運転手へと視線を向ける。

「ならもう出ましたけど…」
「お迎えの要請があって下でお待ちしていたんですが、予定の時刻を過ぎてもいらっしゃらなくて…」
「え…20分近く前に出たわよね」
「龍、電話して」
「う、うん!」

既に顔色が青ざめている龍之介は天の言葉に慌ててへと電話を掛ける。
すぐに呼び出しが鳴ると当時に、運転手の方から着信音が鳴った。
TRIGGERの曲。紛れもなくが設定している着信音。

「…それ…のスマホか?」
「はい、こちらへ向かう途中に入り口辺りで落ちていまして…後で交番に届けようかと」
「どういうこと…なの…?」

最悪の事態を予想した一同は、再度顔を見合わせ、そして頷いた。

「連絡先、頂けますか?」
「はい!名刺です。何かあれば協力は惜しみません!」

運転手から名刺を受け取り、天はこくりと頷きひとまずという事で運転手を帰すことにした。

「楽、すぐに小鳥遊事務所に連絡入れて!天、打ち合わせキャンセル!私は警察に…」
「待ってください。警察に知らせて、大きな騒ぎになったらが危ないかもしれない」
「…じゃあどうしろっていうのよ!」
「スマホもここにある。が出てからタクシーが来るまでは多分、5分もない。ビルから出た瞬間に何かあったんだとしか思えません。が一人でどこかに行くわけない。龍や事務所やファンに心配かける選択を、彼女がするわけない」
「…俺がちゃんと見送ってれば…」

その場にしゃがみ込み、額に手を当てる龍之介。
後悔を現すように唇を噛み、の名を呼んでいた。

「事務所と連絡取れた!事務所にも寮にもまだ姿はねぇみたいだ」
「…か、もしくは第三者からの連絡を待つしかないって事ね。…ちょっと、連絡してくる」
「姉鷺さん、警察は…!」
「分かってる。社長にかけるのよ」

姉鷺の言葉に、楽は何かに気付いた様子で彼女を見て頷く。

「親父は知り合いに警察の幹部がいる。公開せずに捜索が出来るかもしんねえ」

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