君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第198章 198
やりきれない気持ちで、胸が張り裂けそうだった。
つい数時間前まで、TRIGGERは一位に追いつくほどの票数を上げていた。
現在の票数を見ても、ランク外に落ちるなんてありえない。
ならば考えられることは一つ。
消されたのだ。
まるで、存在してはいけないかのように。
「ひどい…」
次のコーナーではIDOLiSH7のメンバーが各地の中継を繋ぐため、は一度裏へと下がる。
「、大丈夫?」
「万理さん…ひどいよ、こんなの…龍くんと天と楽が…何にも、悪い事してないのにっ…!」
「うん…そうだね…」
のショックを受けた顔をステージ際から見ていたのだろう万理がいち早く駆け付ければ、堪えていた涙が溢れ見上げられる。
「傍で彼らを見てるにしたら、辛いよね」
「うん…」
「けど、あきらめちゃダメだよ」
「万理さん…」
「今、千と百くんが話聞きに行ってる。それがどうなるか分からないけど、彼らと、TRIGGERと信じてるファンの子たちの事、信じよう」
「…うん」
小さく頷き、は万理から手渡されたハンカチで涙を拭う。
「メイク、直してきます」
「うん、行っておいで。ここで待ってるから」
「はい!」
万理を見上げ、小さく微笑めばはメイクスペースへと小走りに向かう。
「万理さん。ちゃん大丈夫ですか?」
「うん。あの子は強いから。弱いけど、それでも人を信じる気持ちだけは何より強いから。大丈夫。…だけど」
こんな時、抱き締めてやれないもどかしさ。
「参ったねぇ」
「え?」
「ああ、こっちの話です」
の傍で、彼女の強さ、弱さ、脆さ、全て見てきた。
その中で、いつの間にか何よりも大切な存在になった。
彼女に恋をしてしまったのだろうか、そう考えたこともあるが、それは違うと否定できる。
ただひたすらに、あの笑顔を守りたい。その為なら何でもしたい。
そう思わせる何かが、にはある。
「メイク終わりました!」
「可愛くしてもらったね。そのまま視聴者をガッツリ虜にしておいで」
「もー。そんなポテンシャルないですってば」
「あるってば」
微笑むの頭を撫で、出番が近づくステージへと向かわせる。
輝く光の中、どうか君だけは曇らないでいてくれと願いながら。