君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第196章 196
『歌ってる張本人から筋肉痛になるって言われて踊りたくねぇ』
『あれー?』
そんな会話を交わしながらその後も数々のコーナーをこなし午後10時。
そろそろ、環、一織は出演が出来ない時間となり、陸は体調面から高校生組とともに出演を控えることになっていた。
「じゃあ、あとは大人組に任せて。みんなは明日に備えてホテルでゆっくりするんだよ」
「はい!」
「は特に、絶対に部屋から出ない事」
「はい。わかりました」
「送っていきたいけど…他のメンバーのサポートがあるから、ごめん」
「大丈夫です。みんながいますから」
「っちのことは任していーぞ!バンちゃん!」
環の言葉にの頭を撫でながら、万理は頼もしいよ、と頷き笑う。
四人でタクシーに乗り込み、ホテルへと向かう車内。
行き交う町並みは、明かりが灯され点々と夜道を照らしていた。
「寝れるかなぁ…」
「きちんと寝ておかないと。明日がきついですよ」
「そうなんだけど…夜中どうなるか気になるよ。テレビつけたまま寝ようかなぁ」
「そしたら陸、絶対寝ないと思うんだけどなぁ」
そんな言葉を交わしていれば、スタジオから程近いホテルにタクシーが到着する。
タクシーを降り、辺りを見回しながらホテルのロビーへと入れば、は立ち止まり目を見開いた。
「龍くん…?」
「」
ロビーのホールの据え付けられたソファに腰掛けていたのは龍之介。
驚くと陸たちに歩み寄り、そっとの頭を撫でた。
「なんで…」
「ごめん、心配で…迷惑かもしれないって、思ったんだけど…」
「迷惑なんかじゃないよ。来て、くれたの?」
「うん、ボディガード兼抱き枕として」
放送前日、一人で眠れるか心配だと一人呟いていたのを聞かれていたらしい。
抱き枕を自称する龍之介にくすくす笑い、は嬉しそうにそのまま抱き着く。
「超贅沢な抱き枕だけど…嬉しい。でも龍くん、ベッドシングルだよ?」
「その分ずっと抱き締めてるから」
「龍くん…っ」
、瞳にハート乱舞である。
陸たちも龍之介が来たのなら、と安心した様子で頷く。
人目が気になるから取り敢えず部屋に向かおうと一織が促し、一同ホテルのロビーを後にするのであった。