君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第22章 22
食事を終えた二人は、隣同士に座り、寄り添い合っていた。
「これから、どうしようか」
「タクシーは裏口に呼びますのでって、言ってましたね」
「うん…どこか、移動する?」
龍之介の言葉に、は龍之介を見上げ小さく頷く。
そうと決まれば話は早い。
仲居にタクシーと頼み、眼鏡と帽子とマスクを装着し、案内されるがままに呼ばれたタクシーに乗り込む。
龍之介が住所を告げれば、タクシーはそのまま走り出した。
「うちの方がホテルとか行くより安全だから」
「ん、はい」
小さく頷き、はつながれた手に少し力を込める。
やがてタクシーは大きなエントランスゲートの前に着く。
「このままゲート入ってください」
ゲートのセキュリティを龍之介が解除し、そのままタクシーは中のエントランスの前に止まった。
車ごと入ってしまえば、撮られる心配は少ないのだろう。
セキュリティの強いこのタワーマンションはほかにも芸能人が何人か住んでいるらしいが、龍之介も会ったことは無いらしい。
「行こう」
タクシーの料金を払い、龍之介はの手を引く。
入り口もエレベーターもキーがないと動かないらしく、は感心するばかりだ。
「小鳥遊寮、超ザルなんですけど…」
「まぁ、サプライズ起こすために忍び込めるくらいだもんね…」
「そんなことしたんですか?」
「うん、が来る前だね。あ、ここが俺の部屋」
再度カードキーでロックを解除し、扉を開く。
「…龍之介さんのおうち…」
「いらっしゃい。くつろいで…寛げる?」
緊張のあまりカチコチになっているに苦笑し、龍之介は扉を閉めてからをそっと抱きしめる。
「大丈夫大丈夫。の嫌がることは何にもしないから」
「龍之介さん…」
おずおずと背中にの腕が回り、龍之介はさらにきつく抱きしめる。
「コーヒーでも入れよっか。紅茶とどっちが好き?」
「え、と…紅茶お願いしま…、むしろ、私が入れるべきでは?!」
「ん?じゃあ…場所覚えると便利だろうから、一緒にやろっか」
微笑み手を引いて、龍之介はをキッチンへ導く。