君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第194章 194
の部屋の前に立った龍之介。
一瞬、玄関チャイムを鳴らそうかと考えたが、もしが寝ていた場合起こしてしまう可能性があるとして、カードキーを翳した。
部屋へ入れば室内は仄暗く、しんと静まり返っていた。
辺りを見回しふとシンクを見れば、半分も食べられていないヨーグルトの容器。
他の食器類は見当たらず、洗った痕跡もない。
シンクはヨーグルトの容器と、それを食べるときに使ったのだろうスプーン以外何も置かれていない。
「ほとんど食べてない…?」
この薄暗さの原因は、一人の時は真っ暗にして眠れないがつけた、枕元のスタンドランプしか光源がないからだと分かった龍之介は、そのままの寝室になっているロフトへの階段を上がる。
ベッドを見れば、布団も被らず取り敢えず寝間着を着るだけ着て横になっているの姿。
「…?」
そっと声をかけてみても反応はない。
ゆっくりと近付き、その顔を見て龍之介は先程の言葉を心から後悔した。
はいつかのデートで買ったぬいぐるみを抱きしめ、すやすやと眠っていた。
けれど、その目元にはまだ涙が残り、目尻からは乾いた涙の痕が伝っていた。
「泣かせちゃった…」
どんな理由で泣いていたかはにしかわからない。
けれど、起因は龍之介の言葉と態度だろうことは簡単に予想できる。
目尻にたまった涙を拭い、そっと頭を撫でる。
「ごめんね、…」
「りゅ…うくん…」
「?」
の声に呼びかけてみても寝息が聞こえるだけである。
寝言か、と思いつつ、寝言でも自らを求めるに思わず笑みがこぼれてしまう。
「ごめんね、。あんな事言って…起きたらまた謝るね。ゆっくり寝るんだよ」
そっと頭を撫で、布団を掛けそのまま寝かせてあげようと思った。
けれど、どうしてもあの涙が頭を離れない。
だから龍之介はの抱きぬいぐるみをそっと抜き取り、手元が寂しくなったが伸ばした手を取り、そっと横に寝転んだ。
「ん…」
「、愛してる。大丈夫だよ」
いつもは愛くるしいはずの寝顔が、今日はとても悲しげに見えるのは、自らの罪悪感のせいだろうか。