君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第188章 188
「ほんっとに一番前でど真ん中」
スタッフの案内でチケットに書かれた座席へとやって来れば、目の前にステージ。
とはいえ、ステージまでの距離は少しあるが、ステージセットだけですでに大迫力である。
「…嬉しいなぁ…こんな近くで見れるんだ…うおぉ?招待席って書いてある…!」
座席の背にデデンと書かれた「招待席」の文字。
確かに今回は自力でチケットを取ったわけでは無いので合ってるのだが、何だか気恥ずかしさがある。
「ちゃん?」
「はい!お邪魔しております!えと、私多分すごくきゃーきゃーうるさいので先に謝っておきます。うるさすぎたら遠慮なく言ってください!」
「私もキャーキャー言っちゃうので…!一緒に盛り上がれたら嬉しいです!」
隣にやって来たファンに声を掛けられ一礼すれば、相手もまたぺこりと一礼する。
TRIGGERのファンは良い子たちばかりだ、と再確認である。
後ろと反対側の隣に来た子にも同じように声をかけ、みんなで応援しようね!と笑い合う。
この客席でだけは、芸能人ではなくTRIGGERの一ファンでいられる。
そう接してくれるファンの子たちには感謝しかない。
「うちわ、メンバー分持ってるんですね!」
「今回は大奮発しました!この後どう飾ろうか凄く悩んでるんですけど」
「百均のA4ファイルボックスに入れていくといいですよ!眺めたいなら飾ると良いんですけど、収納ならおすすめです!」
「めっちゃ賢いですねそれ…!やってみます!ありがとう!」
ライブグッズの収納の話で盛り上がっていれば、ライブの開催時間がやってくる。
はペンライトを取り出し、周りの子たちと今か今かと開始を待つ。
「始まる」
会場のライトが消え、ステージに光が点る。
その眩さに、会場のボルテージは一瞬で最高潮まで跳ね上がった。
『皆さん!今日は本当にありがとう!』
何曲か歌った後、MCに入れば天と共に龍之介と楽は一礼する。
『ごめん、ちょっと待って』
そんな事を言いながら、龍之介は一旦後ろを向く。
『どうしたの、龍』
『いや…みんなに会えて嬉しくて…』
『感激しまくりじゃねぇか、龍!』
苦笑しながら呟く龍之介に、会場がまた湧き上がる。