君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第186章 186
「はい、文字盤が小さくなり、ベルトが細く小さいものとなっていますね」
丁度どちらも在庫があるという事で、実物を見せてもらう。
「…うん、良い感じ。両方お願いします」
「刻印サービスもございますが…いかがなさいましょう?」
「じゃあ…」
互いの誕生日と、付き合い始めた日、お互いのイニシャルと刻印してもらい、注文をする。
流石に京都まで再度取りには来られないので、配送をお願いした。
「ありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとうございました。届くの楽しみにしています」
支払いを済ませ、微笑みながら店を後にすればコスメ売り場へと降り立つ。
「龍くんのクレンジング良さそうなのあるかなー…低刺激だけど落ちやすいのが良いよね。遅くなっても手軽に落とせそうな…二度洗いしなくていい…うーん。あ、これ良さげ。すみませーん、これサンプルとかありますか?」
「はい、ございますよ…ちゃんですか?」
「はい。です!あと、こっちの口紅なんですけど…色迷ってて…」
店員に即バレし、微笑み頷いてから口紅を指さす。
クレンジングのサンプルを取り出しながら、店員は口紅に視線を向ける。
「そうですね…雰囲気を変えたいと思ってらっしゃるのなら、こちらの赤色が強いリップ等いかがでしょう?」
「確かに普段ピンク系ばっかりでこんなはっきりした色付けたことなかったかも…試してみて良いですか?」
「はい、もちろんです」
店員に勧められるまま口紅を塗ってみれば、いつもと違う自分が鏡に映る。
「おお…え、これ似合ってます?」
「はい、とってもお似合いです!愛らしいお顔がさらに華やかになりましたよ」
そう言われ改めて鏡を覗き込めば、確かに口紅を変えただけで目元の印象まではっきりしたような感覚を覚えた。
「うん、じゃあ、これ頂きます」
「ありがとうございます」
会計と共に、お願いしたクレンジング以外にも様々なサンプルを貰い、その量に恐縮しながらもは丁寧に店員に礼を注げながらその場を去る。
「めっちゃもらった…」
口紅だけ入っている小さな紙袋より大きなサンプル入りの紙袋を軽く持ち上げながら、は苦笑しつついきつけのカフェへと足を進めるのであった。