君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第184章 184
食事を終えた一行は、タクシーが来るまで店主家族と朗らかに会話を楽しみ、迎えに来たタクシーに乗り込んでホテルまでやって来た。
今はホテルのラウンジにひとまず腰を落ち着け、がカードキーを差し出しているところである。
「えーと、部屋割りですが…姉鷺さん、一人部屋の方が良いですか?」
「そうね、ちょっと事務仕事もあるから夜中までパタパタしちゃうかもしれないし、一人の方がいいわね」
そうして唯一のシングルが埋まったならば、残りの部屋割りも自然と完成である。
「んじゃあ、私は龍くんとツイン泊まらせてもらうね。天と楽はこっちの部屋で…私たちがこっち」
それぞれにカードキーを手渡し、は龍之介を見上げる。
「ん?」
「三人の荷物は一個に纏めちゃってるから、あとで取りに行かないとだね」
「そうだったね。じゃあ、荷物受け取りがてら部屋行こうか」
立ち上がる龍之介に、一同立ち上がる。
もまたそれに続こうとすれば、龍之介がそっと手を差し出した。
「もう、繋いでも良い?」
「ふふ、勿論」
夕飯の店では、の友人家族が相手とは言え、各々の関係性を知られるわけにはいかなかった。
故に、極力イチャつかないように気を付けていたのである。
その割には、口元を拭ったりそっと頬を撫でたりしていたのだが、そこはご愛敬。
普段の二人からしたら大分頑張っていた。
そんな空気を保ったままタクシーに乗ったので、隣同士に座ったものの、余りいちゃつくようなことはしない様にここまで戻って来たのだ。
そして今、やっとこさ手を繋ぐに至ったわけである。
「はぁ~~…早くくっ付きたかったー」
「俺も。部屋行ったら離せなくなるかも」
手を繋いだまま龍之介の腕に抱き着くに、龍之介もくすくす笑いながらの頬を撫でる。
「それは最高。でも早めに寝るからね?」
「朝ゆっくりなのに?」
「うん。しっかり睡眠!やっとファンの子がTRIGGERに会えるのに、疲れた顔してちゃダメでしょー?」
ごもっともである。
だってライブを楽しみにしている一人である。
元気も楽しみも満タンなTRIGGERが見たいし、自分のせいで龍之介が100パーセントを発揮できないだなどとあってはならない。
「じゃあ、今日はまったりだね」
「ん」