君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第176章 176
「残念ですが…貴重な体験でした。ありがとうございました」
「いえ、こちらこそ。本当にモデルさんのようで、素敵なひと時をありがとうございました。また是非、ご結婚式を挙げられる際には当式場もご検討くださいませ」
微笑み頷くスタッフに笑みを返せば、着替えの為に再度試着室へと戻る。
いかにも残念そうなTRIGGERの三人に、スタッフ達も苦笑である。
「可愛かったぁ…」
「だな」
「うん。さすがだね」
「龍にだけ向ける笑顔っての目の当たりにして俺は悔しいけどな。周りの奴らが言ってる、龍と一緒にいるが一番可愛いって意味が分かったぜ」
「まだ言ってるの、楽」
「俺も、普段意識してなかったけど…の笑顔が変わるなんて思ってなかった」
完全に笑顔が変わるわけでは無いのだ。
けれど、龍之介へ向けた微笑みだけは、少しばかり柔らかいものとなっているのが分かる。
どれだけ心を許しているか、どれだけ相手を思っているかが、よぉく伝わってくる写真であることは確かだった。
「ふぃー、お待たせ!」
「お疲れ様。ワガママ聞いてくれてありがとう」
「ふふ、思った以上に喜んでもらえて嬉しかったよ」
着替えを終えたに歩み寄り、そっと頭を撫でる。
龍之介の手を取りそっと繋げば、は辺りを見回した。
「天、楽、楽しめた?」
「かなりな」
「龍が羨ましくなるくらい楽しんだよ」
くすくす笑いながらの頭を撫で、天は頷く。
「…僕と結婚する?」
「へ?」
「天っ!ダメだよ!は俺のっ」
「冗談だよ」
「天の冗談はとびっきりのだからびっくりしちゃうよぉ」
冗談に、しておきたい。出来るならばずっと。
だけど君はいつも僕の心に簡単に入り込んでくる。
困ったね。
そんな天の心の内など知る由もなく、はにこやかに笑うのであった。