君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第175章 175
「水族館楽しかったー!」
「また来ようね」
「うん!」
約束の時間が近づき、と龍之介は水族館を後にした。
の腕には少々大きめのカワウソのぬいぐるみ。
お土産屋で一目惚れしてしまったらしい。
「今日はこの子と寝るの」
「俺とは寝てくれないの?」
「龍くんと、この子と寝るの」
くすくす笑う龍之介に、龍之介と寝ることは当たり前だったけれど、と笑いながらも言い直し、はにこりと微笑みながらぬいぐるみを抱える。
「渋滞はなさそうだけど…出発しようか」
「はーい。お願いします!」
軽快に走り出した車は、渋滞にはまることもなく、無事に予定の場所へとたどり着いた。
待ち合わせには少し早かったのだが、すでに天と楽は変装済みの格好でそこに立っていた。
「天、楽!早かったね!待たせちゃった?」
「今来たばかりだよ、大丈夫」
「良かった。二人とも乗って」
後部座席に二人を乗せ、龍之介はナビを設定する。
「ここ?」
「そうそう、そこ」
こくこく頷くに頷き返し、龍之介は車を発進させる。
「結婚式場なんだろ?」
「そうだよー」
「へぇ…あ、。今日ウェディングドレスの試着と撮影できるって」
行く先をスマホで調べたのだろう天が、に視線を向ける。
「え?!や、やんないよ?!」
「折角なんだから着ればいいのに」
「もう二回も着てるんだよ?私」
これ以上婚期を伸ばすわけには…!と、結婚前にウェディングドレスを着ると婚期が伸びるという迷信を思い出しながら拳を握るに、龍之介はくすくす笑う。
「最短で、あと数か月だよ」
「ふぇ…」
「とはいえ、俺たちが事務所に戻るなり所属しないと小鳥遊社長のお許しは出ないもんね」
「そうだねぇ…」
「大丈夫だろ。俺たちなら」
「そうだね」
苦笑しながら呟く龍之介とに、天と楽が後ろから頷く。
「うん、結婚だけじゃないけど…色んなものや人の為に、頑張ろう」
「頼もしい。さすがTRIGGERだね」
嬉しそうににこりと微笑めば、一行を乗せた車は順調に式場へと辿り着く。
駐車場に案内され、受付に向かえば、まるで西洋のリゾート地に来たかのようなロビーが出迎えた。
「おー。想像以上」
「こんな所で結婚式挙げたら楽しそうだね」
「本当に」