君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第164章 164
「え?!な、なんかあったのか…?!そういえばこの間親父さん倒れたって…!」
「ううん、お父さんは大丈夫。実は、今実家と喧嘩中なんだ」
しょんぼりとしたの頭を抱きしめながら、龍之介がやんわりと伝える。
から聞いていたのか、IDOLiSH7のメンバーもああ、と頷く。
「…そうか。元々あんまり仲良くないっつってたもんな」
ここで天、にこっそり問いかける。
(養女ってことは言ってあるの?)
(言ってない。事務所で知ってるの社長と万理さんだけだよ。みんなには家族とうまくいってないってだけ伝えてる)
(わかった)
「てんてんとっち、何コソコソしてんの?」
「コソコソだから、秘密だよ?」
口元に人差し指を立て微笑むに、環がぐぅと黙り込む。
のこの悪戯めいた顔に環は弱かったりする。
「そんなわけで、うちの実家には少なくとも私からは頼めないし、TRIGGERをこれ以上うちの実家に関わらせたくない…」
そもそも世間体を何より大事にしたがる女将だ。
いくらホテル王の息子がいるとはいえ、世間的にこの先どうなるか分からないグループのスポンサーになりたいとは考えないだろう。
「あの女将は、味方にも敵にもしたくないよ」
このままが龍之介と付き合っていき結婚したならば、姉ではなくを女将として迎え入れ、龍之介を婿養子にと企んでも何ら不思議ではない。
二人の気持ちのみならず、人生までめちゃくちゃにされてたまるものか。
そんな気持ちを新たに、は龍之介を見上げ、そして擦り寄るのであった。