君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第162章 162
マンションへ着いた二人は、龍之介の部屋ではなく、の部屋へ一旦戻ることにした。
がシャワーを浴びたがったためである。
「俺、待ってようか?」
「や。一緒に浴びるの」
その答えは分かっていた。分かっていて敢えて聞いた。
しかし
「可愛すぎる…」
龍之介、悶絶である。
お風呂行こっか、と微笑み、は嬉しそうに龍之介の腕に抱き着く。
と、そこへ着信音が鳴る。
「知らない番号…」
「俺出ようか?」
龍之介の言葉に、が頷けばスマホを受け取り、スピーカーにして電話に出る。
「もしもし」
『…龍之介か?』
「虎於くん…?」
『の番号だろ?』
「、知らない番号は出ないから」
代わりに出たんだよ、と龍之介が答えれば、ハッと小さい笑いが聞こえる。
『登録させとけ』
「それはが決めることだよ」
「即削除。ブロック」
「だって」
の声が聞こえたのか、虎於は電話口でため息をつく。
「それより、の番号をどこから?」
『の母親に聞いた』
プライバシーの概念がガバガバである。
それでよく高級旅館の女将が務まっているものだともまた盛大にため息をつき、龍之介に抱き着く。
「そう。それより、虎於くん。俺、言ったよね?に何かしたら許さないって」
『ああ、そうだったな。だからって、お前に何が出来るんだよ?』
「俺が今君にできるのは、ふざけるな、いい加減にしろって怒鳴りつけることくらいだよ。だけど、はそんなこと望んでない。だから、ちょっと卑怯なことさせてもらうね?」
『あ?』
呟き、スマホを持ったまま、の顎を掴み口付ける。
「へ、龍く…んっ…ぁ…」
そのまま、の唇を割り舌を絡めれば、からはくぐもった声が聞こえる。
ちゅる、としたの絡む音は、のキスに酔う声とともにマイクを通して虎於に聞こえているだろう。
「っん…龍くん…愛してる」
「うん、俺も愛してる。お風呂入ろっか」
「んっ。でももっとちゅー…ぁっ、んぁ」
『何してんだよお前ら…っ』