君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第161章 161
着替えを終え、帰り支度が整った丁度その時、万理が控えめに扉を開いて声をかけてきた。
「今入って大丈夫?服着てる?」
どんな想像してんですか。とが心中ツッコミながら、ばっちり着てますよ、と返事をすれば、安心したように万理が入ってくる。
「駐車場まで見送るね」
「ありがとうございます。あの、スタッフさんたちにきちんとお礼言えなくてすみません…」
「みんな気にしてなかったよ。寧ろちょっと同情的だったかも」
そんな万理の言葉に苦笑しながら、再度礼を言う。
そのまま部屋を出ようとすれば、部屋の扉が開いた。
「」
「お母様」
「のお母さん…」
入って来たのは、の母。
つかつかとに近づいたかと思ったら、瞬間、の頬をひっ叩いた。
「っ」
「何するんですか!?、大丈夫?ほっぺ見せて?」
「ん、大丈夫…。ありがと、龍くん。…お母様、気は済みましたか?」
肌が白い故に、叩かれた場所がみるみる赤く染まる。
幸い腫れることはなさそうだが、いくら何でも問答無用に突然頬を叩くとは如何なものか。
けれど、は微塵も動じていない。
その姿に、龍之介は違和感を覚えたが、次いだ母の言葉にそちらを見る。
「あんた…!虎於君になにしてんねや!」
「…な…、はしっかり仕事したんですよ?彼女の仕事を邪魔したのはむしろ虎於くんの方です。どうしてを責めるんですか…」
「貴方には関係ない話やろ。お下がりください」
「下がれません。は、俺の大切な恋人です。を見ず、世間体や自分の都合で一方的に責め立てる人に、例え母親であろうとは近付けさせません」
の肩を抱き寄せ、そのまま抱き締める龍之介に、女将は目を見開く。
「…あんた、ホンマなん?」
「私は龍之介さんを愛しています。どれだけ反対されても、他を失おうと、彼からは絶対に離れません」
「…なんや、せやったん。ホテル王の息子さんともう付き合うてたん?」
これまで、鬼の形相でを見ていた女将が、途端に頬を綻ばせてに視線を向ける。