君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第159章 159
視線をずらした虎於がを見つけ、一瞬惚ける。
それからに近づけば、気配に気づいたが虎於を見、そして軽く目を見開いた後柔らかく微笑んだ。
瞬間、虎於は足を止め、に魅入る。
「カット!いいねいいね!リハオッケー!」
「ありがとうございます!」
「……」
「御堂さん?」
「っ、あ…なんでもない」
スタッフに声を掛けられ、虎於がハッとして軽く首を振り、元の位置に戻る。
一方、見学していた万理は隣に立つ女将に気付き首を傾げる。
「どうかしました?」
「あの子は…誰なんです・・?」
「貴女の娘…というより、今は女優のですね」
仕事のスイッチが入れば、纏う雰囲気も、表情も、その役に寄せ切ってしまう。
これまで14年間見てきた娘としてのの顔は、スタートがかかった瞬間消え失せる。
そのことに、女将は衝撃を受けていた。
「すごいなぁ…」
「あの子は本当にすごいです。うちの事務所の大きい戦力になってくれてますよ」
にこりと微笑む万理に小さく頷き、女将は本番に挑むに視線を向ける。
「昔から気遣いが細やかな子やったけど…」
「実力が高くて、気配りが出来て、いつも笑顔で。あの子に会う子はみんなあの子に恋をする。業界内でも評判は上々です」
そう言って本番に挑むに視線を向けながら、万理は何度も頷くのであった。