君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第151章 151
何とか苦難を乗り越えたかに思えた東京国際音楽芸術祭。
けれど、TRIGGERにとって更なる困難が待ち構えていた。
「契約解除…?」
「うん…八乙女事務所の仕事としては、次のミューフェスが最後になるって…それで、天と楽とはきちんと話して、俺たちTRIGGERとしての結論は出した。その上で、にちゃんと相談しないといけないなって…」
八乙女に呼び出された三人は、八乙女から契約解除を言い渡された。
TRIGGERのみならず、八乙女事務所も窮地に立たされている現状。
八乙女事務所はツクモプロダクションの傘下であるため、これ以上TRIGGERを事務所においておけば、共倒れになると八乙女は判断した。
そうならないよう、TRIGGERを手放すことを告げたのだ。
「…見捨てたわけじゃないんだよね?八乙女社長…」
「うん。ただ、俺たちと契約したい事務所は今、どこにもないのも現状だ。だから、俺たちは後ろ盾を失くしたインディーズってことになる」
「野良TRIGGERってこと…?カッコ良いじゃん?」
の呟きに、龍之介はきょとんとしてからくすくす笑い出す。
「普通、ほぼ無職状態になる彼氏、見捨てるよ?」
「龍くんが、TRIGGERが歩みを止めたらそれも有り得るかもしれないけど…TRIGGERは止まらない。いなくならない。そう信じてるもん。それに」
私もガッツリ稼いでるし。
そう言って微笑み、は龍之介を見上げる。
「確かに。さすが小鳥遊事務所のお姫様」
「さらに言ってしまえば、私は龍くんと生きて行くって決めたから。例え四畳一間で傘はりしてても一緒に生きてくよ」
いつの時代?とツッコミを入れながらも、龍之介はを抱き寄せる。
「の強さには、時々ビックリする」
「ずーっと言ってるでしょ?恋する乙女は強いのー。さて、まだ話あるんでしょ?」
お見通しである。
こくりと頷き、龍之介はを見る。
「さすが。八乙女事務所との契約解除に当たって、楽がマンションを出なきゃいけないんだ。名義の問題だと思うんだけど…。天も、九条さんと話して、三人で心機一転頑張っていこうって…それで、俺のマンションに二人を呼びたいって…思ったんだけど」